【とっても丁寧に理解していく】所得税について
所得税について調べた事を分かりやすく丁寧に説明していきます。
※2020年8月現在での記事になります。
所得税とは、1年間の収入に応じて支払う税金(=直接税)の1つです。
累進課税といって、収入の多い人程、税率が高くなります。
こんな表見た事ありますか?
課税される所得金額 | 税率 |
195万円以下 | 5% |
195万円超 330万以下 | 10% |
330万円超 695万以下 | 20% |
695万円超 990万以下 | 23% |
990万円超 1800万以下 | 33% |
1800万円超 4000万以下 | 40% |
4000万円超 | 45% |
年収によって異なる税率を掛けることは、何となく知っている方も多いと思います。
実はこの表は正確ではありませんし、所得税の求め方はもう少し複雑です。
どういう仕組みで所得税が定まるのか、これから丁寧に説明します。
所得税が決まる仕組み
所得税は大きく分けて3つの流れで適切な額に調整されます。
1. 課税対象額を減らす(給与所得控除、所得控除)
2. 課税対象額に係数を掛けて、所得税額を割り出す。
3. 所得税額を減らす(税額控除)
4. 復興特別所得税を加える。(令和19年まで)
シンプルな例として、年収500万円、何も節税対策していないサラリーマンを見ていきましょう。
1. 課税対象額を減らす
課税対象を減らす控除には「給与所得控除」と給与所得以外の「所得控除」があります。どちらも収入から引き算して、課税額を求めるものです。
給与所得控除
「給与所得控除」は経費扱いで考えます。
イメージとしてはこんな感じ。
社長「スーツは経費で買ってね。経費分の給料上乗せしておくから」
給与所得は自営業なら経費、サラリーマンなら給与所得控除を抜いた分になります。
収入 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入×40% – 10万円 55万円以下は55万円 |
180万円超 360万以下 | 収入×30% + 8万円 |
360万円超 660万以下 | 収入×20% + 44万円 |
660万円超 850万以下 | 収入×10% + 110万円 |
850万円超 | 195万円 |
今回は360万〜660万の年収20%+44万=144万が給与所得控除です。
年収から引いてみます。
500万円 – 144万円 = 356万円
課税対象額は356万円になりました。
所得控除について
同様に所得控除も差し引きます。所得控除は複数の課税控除の総称で、今回の例では「基礎控除」「社会保険料控除」を考えます。
基礎控除
基礎控除は条件なく課税対象額から引くことの出来る控除です。
個人の合計所得金額 | 控除額 |
2400万円以下 | 48万円 |
2400万円超 2450万以下 | 32万円 |
2450万円超 2500万以下 | 16万円 |
2500万円超 | 0円 |
表から48万円が基礎控除額となります。
今まで計算した課税対象額346万から更に引いてみます。
356万−48万=308万
社会保険料控除
社会保険に支払った額が社会保険料控除額となり、課税対象額から引くことが出来ます。今回は年間に50万円社会保険として支払ったとしましょう。
308万円−50万円=258万円
課税対象額は258万円に決まりました。
2. 課税対象額に係数を掛けて所得税額を割り出す。
最初の表(+α)を使って、所得税の額を求めます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万以下 | 10% | 97500円 |
330万円超 695万以下 | 20% | 427500円 |
695万円超 990万以下 | 23% | 636000円 |
990万円超 1800万以下 | 33% | 1536000円 |
1800万円超 4000万以下 | 40% | 2796000円 |
4000万円超 | 45% | 4796000円 |
248万円に該当するところをみます。
課税対象額に10%掛けて、97500円引きます。
258万円×10/100−97500円=160500円
3. 所得税額を減らす(税額控除)
今回のケースでは求めた所得税額を直接減らす「税額控除」はありません。
詳しい内容は割愛しますが、私の場合だと、「住宅ローン控除」と「ふるさと納税」が当てはまります。
別の機会に記事にしたいと思います。
4. 復興特別所得税を加える。(令和19年まで)
東日本大震災の復興を目的とした税金になります。2.1%上乗せされます。
復興特別所得税を求めます。
160500円×2.1/100=3370円(小数点以下切り捨て)
復興特別所得税を足すと、
160500円+3370円=163870円
これで所得税は年間163870円に決まりました。
まとめ
今回の例のようにひとつずつ見ていくと、所得税の仕組みについて理解出来たのではないでしょうか。
計算の流れをおさらいします。
1. 年収から給与所得を引く
2. 基礎控除を引く
3. 社会保険料控除を引く
4. 出した額に対して税額計算をする
5. (あれば)出した額に対して税金控除の計算をする
6. 最後に復興特別所得税を足す